研究活動・出版物

研究主題「学びに没頭する子どもを育てる授業」

平成25年度から、研究主題を「自ら問い続ける子どもを育てる授業」と設定し、6年間の研究実践を重ねてきました。この研究をうけ、令和元年度から研究主題「学びに没頭する子どもを育てる授業」を立ち上げ、「没頭」という心理状態の機能に着目した授業づくりに取り組んでいます。この根底には、本校教育が受け継いできた「誘導論」が流れています。令和元年度の研究発表会では研究発表、授業公開、研究協議会、さらに慶應義塾大学の藤本和久教授による講演などを実施しました。

教育実習

本校では、9月上旬から10月中旬にかけて、6週間の教育実習を実施しています。また、本校教員による示範授業の参観や本校教員と一緒に取り組む協働授業、その後の講話など、事前指導を行い、本実習に向けた心構えを養うようにしています。本実習における教育実習のねらいは、「教師として必要な専門的基礎技術を習得させ、教師としての使命や責任を自覚させるとともに、教育者としての適性に気付かせ、その内面化を図る。」ことにあります。実習生は、子どもたちが意欲的に楽しく学習し、友達とともに学び合いながら学習内容を理解することができるように、本校教員の指導を受けながら日々授業づくりに励んでいます。
また、本校では、教科等研究会を行い、同じ教科等を専門とする実習生が一つの授業を創り出すために、教材・教具づくり、発問や板書について共同で練り合い、教材研究を深めています。また、授業研究に対する真摯な姿勢を養い、授業づくりへの認識を深めることができるように、大学の先生方にもご指導・ご助言をいただいています。さらに、本実習に向けた心構えを養うために、次年度に教育実習を行う2年生も授業や協議会に参加しています。
  • 協働授業に取り組む様子
  • 教生先生との授業風景
  • 教生先生のありがとう集会

研究著書

「新教育誘導論」
福岡第二師範附属校編 金文堂出版部(昭和22年6月発行) 
廣田印刷(平成4年1月 復刻版発行)
 教師は未成熟者、未完成者としての児童を教育してやる指導してやるといったような立場に立つのではなく、児童が児童なりに関係づけられ関係している様々な現実生活の中で、将来立派な成熟者としての位置と秩序と意義とを得させるようなものとして作用するものでなくてはならないのである。我々はかかる教育作用と「誘導」と名づける。(本文より抜粋)
「ひとりひとりが生きる特別活動の展開」
福岡教育大学附属小倉小学校 著
明治図書出版株式会社 発行(昭和48年6月)
 特別活動のねらいについて、本校では、子どもひとりひとりの独自性の発現ということを大切にする。それは教育でよく問題にされている能力の比べ合いということでなくて,生活を営んでいるかけがえのないひとりひとりを絶対的なものとしてとらえていこうとする立場である。そのひとりひとりに固有な独自性を発揮させ、生かしていく上で重要な場が特別活動ととらえる。(本文より抜粋)
「『子どもの事実』に学ぶ授業」
福岡教育大学附属小倉小学校著 明治図書出版株式会社発行(昭和60年6月)
 「子どもの事実」に学ぶとはどんなことか。辞書的な解釈をふりだしに、子どもの表情・つぶやき・動作・子ども語録・座席表・子どもの目の高さなど子どもにかかわる問題が次々に実践の舞台にあがり、授業研で論議されていった。しかし、子どもは無限の可能性をひめているといわれているだけに、そのふところは深く、この研究の厳しさがそのつど、ひしひしと私たちの前に立ちふさがってきた。(「あとがき」(白石寿副校長)より抜粋)
「子どもが成就感を味わう授業」
福岡教育大学附属小倉小学校著 
福岡教育大学附属小倉小学校実践教育研究会発行(昭和61年6月)
 授業の中で成就感を味わうことができるとは正に授業における自己実現の達成である。それを達成した子どもは「生きることを心底から歓喜し」「生きることを畏敬し」「生きる真の主体者」となることができると信じている。(「まえがき」(石井武士学校長)より抜粋)
 
「子ども自らが動き出す 生活科単元づくりと評価」
福岡教育大学教育学部附属小倉小学校 著 明治図書出版株式会社(平成元年6月)
 私たちが現在対面している子どもたちは、やがて、21世紀の中核となって活躍する人間たちである。今日のスピードで科学や経済が発展しつづけるとしたら、21世紀に生きる人間に求められる力は、それに対応する精神構造と問題解決力と創造力であろう。そこで、本校では、『生活科』を、子どもたちの問題解決力と創造力の芽を育てるための総合的な学習、そのための『教科』として意味づけることにした。(本文より抜粋)
「子どもの感性が生きる授業づくり」
福岡教育大学教育学部附属小倉小学校著 
明治図書出版株式会社 発行(平成6年5月)
 感性が生きる—このことを、教師の授業づくりの立場から見ると、学習者の自発性を促し、体全体を使った主体的な活動を生み出し、学ぶ喜びを味わわせていくことに他ならない。このような学習を組織していくためには、子どもが本当に学んでいく心的過程が構想されなければならない。つまり、子どもの学びの過程で、どのような感性が働き、生きてくるかを明らかにしていくことが必要なのである。(本文より抜粋)
「今、学校が変わる 『生きる力』を育てる本」
福岡教育大学附属小倉小学校 編著 あらき書店 発行(平成10年2月)
 学校が変わることは、教師の指導観が変わることです。それは子どもの学習観が変わっていくことでもあります。子ども自らが考え、判断・表現していく『生きる力』を育むためには教師の指導観の転換こそが大切なことではないでしょうか。また、この『生きる力』がその子の生涯を支える力となることを誰よりも保護者が深く理解し、学校や社会との連携の中で我が子を育てていこうとする態度が大切になってくると考えます。本書が、そのための具体的な道しるべとなることができれば幸いに存じます。(「あとがき」(有田邦宏副校長)より抜粋)
「豊かな学びをびらく -「自ら学ぶ力」を育てる教育課程の実践」
福岡教育大学附属小倉小学校 著 教育出版 発行(平成16年2月) 
 本書は、平成11年から4年間、文部省及び文部科学省の研究開発の指定を受け、研究に取り組んできた成果を、理論編・実践編としてまとめたものです。誘導の教育理念のもとに『子どもの立場に立った』教育実践をめざしてきた本校では、平成8年度より、子ども達に自ら学ぶ力が不足しているのではないかという課題のもと、『学びの力』を育てることを中心に研究が進められてきました。(中略)新教科として提案しました英語科・情報科・選択教科は、今後の教育課程編成の参考になるのではないかと思いますが、『学び方』の評価については、目にえない部分もあり、今後の継続研究の必要性を感じております。皆様のご意見をいただければ幸いです。(「あとがき」高橋博之副校長より抜粋)
「自己を磨く子どもを育てる - 探究型学習のススメ- 」
福岡教育大学附属小倉小学校 著 明治図書 発行(平成22年3月)
 「自己を磨く子ども」とは、自らの思いや願いをもとに、より高い自己像を描き、それに向けて常に環境や自分自身、所属集団にはたらきかけていくことのできる子どもである。そして、その中で自ら考え、判断し、表現し続け、新たな価値ある自分や集団をつくっていく子どもである。人が生きていく営みは、環境との絶えざるかかわりの連続である。そのかかわりの中で、内なる問題をもち、その解決に向けて更に環境にはたらきかけていくときに、自己変革が始まる。これらの一連の姿こそ、「自己を磨く」子どもの姿である。子どもが問題解決する姿を教材等の価値との接点で生み出そうとするのが「探究型学習」である。その考え方や進め方に幾許かの提案ができれば幸いである。(「おわりに」(皆尺寺敏紀副校長)より抜粋))
「創造的に思考する子どもを育てる -学習材・単元展開・言語活動の仕組み方-」
福岡教育大学附属小倉小学校 著 明治図書 発行(平成25年3月)
 本校では、これまでの研究実践を通して培ってきた教育の原点に軸足を置き、今日的な課題への対応だけでなく、これからの社会を生きていく子どもたちに必要な力として「創造的に思考する力」を育む教育実践研究に取り組んできています。自分たちで問題を見出し、情報を集めたり、既有の内容知・方法知を駆使したりして問題を解決していく中で、価値あるものをつくりだす学習を目指しているのです。本書は、このような考え方、そのための手立てや言語活動を、具体的に、わかりやすく表現したつもりです。本書が多くの先生方の教育実践、何よりも子どもたちの学習に役立つものになって欲しいと願っています。(「はじめに」(津川裕校長)より抜粋)
 <本校研究書籍最新版>
「自ら問い続ける子どもを育てる授業-『問いたくなる』状況づくりと学び合い-」
福岡教育大学附属小倉小学校 著 教育出版 発行(平成31年2月)
 本校では、平成25年度より「自ら問い続ける子ども育てる授業」を研究主題とし,子どもが「自分事」としての「問い」を見いだし,「自ら問い続ける」授業作りの在り方を探ってまいりました。それは,「子どもたちのよりよい学びや成長を実現する」という本質的な目的のもと,「よりよい授業を創る」ためです。本書は,授業づくりの考え方やそのための手だてを具体的でわかりやすく表現し,リフレクションや授業協議会の持ち方まで余すことなく詳らかにしました。また,授業改善や研究指導に活用しやすいよう,理論編と実践編,運営編の三層構造としました。本書が多くの先生方の教育実践,何よりも子どもたちの学習に役立つものになってほしいと願っています。(「はじめに」(服部一啓校長)より抜粋)
 本書は,「自ら問い続ける子どもを育てる授業」をテーマに掲げた6年間にわたる実践研究をまとめた書であるが,その「自ら問い続ける子ども」という言葉の背景に潜む意義深さにぜひ心を馳せてもらいたい。学びの主体性や深まりが重視される今日だからこそ,あらためて本校の教育研究の伝統に支えられた成果の重みを確認することができるに違いない。(「監修の言葉」(慶應義塾大学 鹿毛雅治)より抜粋)